雨はまだ降り続いている…〜秘密の契約結婚〜
「小百合、本当に迷惑だ。これ以上は勘弁してくれ」

俺が懇願しても、小百合が俺から離れることはなかった。
どうしたらいいんだろうと途方に暮れていたら、自宅の玄関の扉が開いた。
運悪く奈緒に見られてしまった。俺はあまりのショックに立ち尽くしていた。
そんなタイミングで小百合は、俺に自分の想いをぶつけてきた。

「悠翔、私はまだ悠翔が好き…」

小百合の言葉が耳に入ってこなかった。奈緒が泣きながら去っていく姿が脳裏に焼きついた。

「小百合、ごめん。俺はもう小百合とは付き合えない」

小百合の告白を断り、俺はその場を走り去った。
身体が勝手に動いていた。奈緒を求めて。
誤解を解き、奈緒が好きなんだと伝えたい。
奈緒の行先なんて分からないまま、俺は必死に奈緒を追いかけた。
もう我慢なんてできなかった。気持ちを自覚した時点で告白すればよかったと後悔している。
必死に走って追いかけた結果、奈緒をすぐに見つけることができた。

「奈緒、待って」

奈緒を引き止めるために、俺から声をかけた。
俺は覚悟を決めた。今から奈緒に本当の想いを告げて、偽りの関係を終わらせると。
これから先の人生に奈緒が隣に居ることを願った。もう奈緒がいないと生きていけない。
俺にとって奈緒はそれぐらい大事な存在だ。絶対に奈緒を他の誰かになんて渡したくない。
だからもう過去から逃げない。ちゃんと自分の過去と向き合うために、俺は今から自分の過去について奈緒に正直に伝えることにしたのであった。
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