雨はまだ降り続いている…〜秘密の契約結婚〜
「そうだったんですね。悠翔さんにも辛い過去があったんですね…」
私にはこれ以上、何も言えることはなかった。何も知らない私が何か言うのは違う気がした。
「今はもう過去にすることができてるけど、当時は辛かったね。俺が歩き方が分からなくなった原因って上司からの嫌がらせが原因だったんだ」
想像の遥か上をいく壮絶な過去だ。上司からの嫌がらせなんて、そんなの誰も耐えられない。
「ある日突然、会社に行けなくなって。あれ?どうしてだろう?おかしいなって思って精神科に行ったんだ。そこで薬をもらって治療をしながら会社に行けるようになったんだけど、上司の嫌がらせがエスカレートして、また会社に行けなくなって引きこもるようになって…そのまま会社を辞めることになって。そんな時に傍で支えてくれたのが小百合だったんだ」
小百合さんは悠翔さんにとって一番辛い時期を支えてくれた人だったのだと知り、私の心中は複雑な気持ちだ。
悠翔さんの過去に嫉妬したって仕方がないと分かっていながらも、悠翔さんにとって特別な人がいたという事実が私にとってはショックが大きかった。
「小百合さんとはどうしてお別れしたんですか?」
二人が別れる理由がないので分からなかった。どうしてお別れすることになったのか…。
「会社を辞めた俺は精神的に弱っていたからすぐに転職活動をすることができなくて。引きこもることしかできなかったんだ。小百合におんぶで抱っこ状態で。小百合に対して申し訳ない気持ちが大きくて。それでも小百合は傍に居てくれて。俺は嬉しかった。でもそんな生活は長続きしなくて。小百合のご両親に反対されたんだ」
「何故、小百合さんのご両親は反対したんですか?」
「精神的に病んで会社に行けなくなる前に小百合にプロポーズをしたんだ。もちろん小百合は俺のプロポーズを受け入れてくれて婚約してくれた。双方の親にも挨拶を済ませていて。あとはもう籍を入れるだけっていう状態までいったんだが、そんなタイミングで俺は精神的に病んで、会社に行けなくなってしまって。そんな俺を見て、小百合のご両親は俺との結婚を反対したんだ。今思えば反対されてよかったと思うし、あのまま小百合と一緒に居たら今の俺はなかったと思う」
結婚まで考えた女性との別れは、嘸かし辛いことだったと思う。
それは悠翔さんだけじゃなく、小百合さんも同じ気持ちのはず。
だから小百合さんは悠翔さんに会いにきた。そして私が応答したから驚いたということになる。
小百合さんはまだ悠翔さんが好きで。やり直したいと思っている。
小百合さんの気持ちを考えると、私は身を引いた方がいいのでは…という気持ちに陥る。
でも悠翔さんは譲れない。いくら元カノでも悠翔さんだけは渡せない。
「そうだったんですね。悠翔さん、お話してくれてありがとうございます」
「奈緒には知っておいてほしかったんだ。俺の過去も、俺の気持ちも…」
過去も気持ちも…。気持ちもって一体どういうこと?!
私にはこれ以上、何も言えることはなかった。何も知らない私が何か言うのは違う気がした。
「今はもう過去にすることができてるけど、当時は辛かったね。俺が歩き方が分からなくなった原因って上司からの嫌がらせが原因だったんだ」
想像の遥か上をいく壮絶な過去だ。上司からの嫌がらせなんて、そんなの誰も耐えられない。
「ある日突然、会社に行けなくなって。あれ?どうしてだろう?おかしいなって思って精神科に行ったんだ。そこで薬をもらって治療をしながら会社に行けるようになったんだけど、上司の嫌がらせがエスカレートして、また会社に行けなくなって引きこもるようになって…そのまま会社を辞めることになって。そんな時に傍で支えてくれたのが小百合だったんだ」
小百合さんは悠翔さんにとって一番辛い時期を支えてくれた人だったのだと知り、私の心中は複雑な気持ちだ。
悠翔さんの過去に嫉妬したって仕方がないと分かっていながらも、悠翔さんにとって特別な人がいたという事実が私にとってはショックが大きかった。
「小百合さんとはどうしてお別れしたんですか?」
二人が別れる理由がないので分からなかった。どうしてお別れすることになったのか…。
「会社を辞めた俺は精神的に弱っていたからすぐに転職活動をすることができなくて。引きこもることしかできなかったんだ。小百合におんぶで抱っこ状態で。小百合に対して申し訳ない気持ちが大きくて。それでも小百合は傍に居てくれて。俺は嬉しかった。でもそんな生活は長続きしなくて。小百合のご両親に反対されたんだ」
「何故、小百合さんのご両親は反対したんですか?」
「精神的に病んで会社に行けなくなる前に小百合にプロポーズをしたんだ。もちろん小百合は俺のプロポーズを受け入れてくれて婚約してくれた。双方の親にも挨拶を済ませていて。あとはもう籍を入れるだけっていう状態までいったんだが、そんなタイミングで俺は精神的に病んで、会社に行けなくなってしまって。そんな俺を見て、小百合のご両親は俺との結婚を反対したんだ。今思えば反対されてよかったと思うし、あのまま小百合と一緒に居たら今の俺はなかったと思う」
結婚まで考えた女性との別れは、嘸かし辛いことだったと思う。
それは悠翔さんだけじゃなく、小百合さんも同じ気持ちのはず。
だから小百合さんは悠翔さんに会いにきた。そして私が応答したから驚いたということになる。
小百合さんはまだ悠翔さんが好きで。やり直したいと思っている。
小百合さんの気持ちを考えると、私は身を引いた方がいいのでは…という気持ちに陥る。
でも悠翔さんは譲れない。いくら元カノでも悠翔さんだけは渡せない。
「そうだったんですね。悠翔さん、お話してくれてありがとうございます」
「奈緒には知っておいてほしかったんだ。俺の過去も、俺の気持ちも…」
過去も気持ちも…。気持ちもって一体どういうこと?!