雨はまだ降り続いている…〜秘密の契約結婚〜
「奈緒、先に何か注文するか?」

待っている間、時間を持て余してしまうので、時間を埋めるためにも何か注文した方がいいかもしれない。

「そうだね。何か注文しよっか」

各テーブルに配置されているタブレットを取り、テーブルの上にタブレットを置いた。

「先に奈緒がどうぞ」

悠翔にそう言われたので、お言葉に甘えて先にタブレットを使わせてもらうことに…。
しかし、これといって特に食べたいものがない。というより緊張のあまり食べ物を食べられる余裕がない。
なので、とりあえずドリンクバーだけ注文することにした。

「私はもう決まったから、悠翔、どうぞ」

悠翔にタブレットを渡した。悠翔はすぐにタブレットを受け取り、何を注文するのか考え始めた。
考え始めて数秒で、悠翔もすぐに何を注文するのか決まったみたいだ。

「俺もドリンクバーだけにすることにした。さすがに食べ物を食べる気分にはなれないよな…」

どうやら悠翔も同じみたいだ。緊張のあまり食べものを食べられそうにない。

「そうだね。ちょっと食べられそうにないよね…」

「だよな。とりあえず、ドリンクバーだけ注文しておくな」

タブレットを使って、悠翔が注文をしてくれた。
注文を終えたので、ドリンクバーまで行って、飲み物をコップに注いでから自分達の席に戻った。
お互いに緊張のあまり、無言になってしまった。無言を誤魔化すために飲み物をひたすらに飲み続ける。
この時間がとても長く感じた。お願い、早くこの空気をどうにかして…!と切に願った。
そう願ったからなのか、タイミング良く小百合さんが到着した。

「ごめんなさい、自分からお呼びしたのにも関わらず、遅れてしまって…」

こちらの近場にしてもらった時点で、私達の方が先に着いて待っているのは当然なわけで。小百合さんに落ち度はない。

「気にするな。大丈夫だ。時間にはちゃんと間に合ってる。それにこちらの近所にしてもらったんだから、俺達が先に来て待っているのは当然だ」

悠翔が小百合さんにフォローを入れた。小百合さんが遅刻したことを気にしないようにするために。

「そう言ってくれてありがとう。私も座ってもいいかしら?」

何もよく考えずに向かい合って座ってしまっていたため、小百合さんはどちらの方に座ったらいいのか困ってしまったみたいだ。

「すまん。俺が席を変わるから、こっちに座ってくれ」

悠翔が席を立ち、私の隣に座ってきた。ただそれだけのことで胸の高鳴りが加速した。
そして先程まで座っていた向かいの席に、今度は小百合さんが座った。

「改めまして、小百合と申します。既に悠翔からお話を聞いているとは思いますが、以前、悠翔とお付き合いさせてもらってました」

小百合さんは正々堂々、私と向き合うために、私と会う決心を持った。
だから私も小百合さんと正々堂々向き合うことにした。
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