雨はまだ降り続いている…〜秘密の契約結婚〜
「凌大は式場を決めた決め手ってなんだった?」

いよいよ本題に突入。今の私達には少しでも参考になる意見が知りたかった。

『うーん、なんだろう…。お互いにいいなって思った式場だったのが決め手かな。やりたいプランや料金も含めて、お互いにいいなって思う式にしないと意味がないからね』

凌大さんの話を聞いて、大事なことに気づかされた。私達に足りないものが見えたような気がした。

「なるほど。確かにそれが一番大事だな」

『結婚式って俺達だけのものじゃないからね。両家の親のことや、招待客の人数…とか、色々考えなくちゃいけない問題が山積みだからね。その問題を二人で一緒に解決していく。それが一番大事なことだから』

結婚式は自分達の家族や知り合いなどを巻き込み、盛大にお祝いをする人生最大の行事だ。
だからこそ、慎重に二人で話し合って決めていかなければならない。
私達にはまだじっくり話し合えるほどの絆が育まれていない。最近やっとお互いの気持ちを知ったばかりだから。
今の私達に大事なのは、お互いをよく知るためにちゃんと話し合うことだ。

「確かにそうだよな。色々とアドバイスをありがとう、凌大」

式場選びをする上で、一番大事なことを凌大さんから教えてもらった。
このアドバイスを大事にしつつ、自分達なりに良い結婚式ができることを願った。

『いえいえ。お役に立てたのならよかったよ』

「悪いな、せっかくの休日を邪魔して…」

「そんなに気にしなくて大丈夫。今、奥さんは友達と出かけてていなくてさ。一人で暇してたところだったから、電話をもらえてちょうどいい時間潰しになって良かったよ』

「そっか。それならよかった。それじゃまた週明けに…」

『おう。またな…』

話の区切りがいいところで、電話を切った。

「凌大は仕事が早いな…」

私達とは違い、真剣交際をしていたので、結婚する前に色々準備を済ませているのは納得だ。

「俺達も早く式場を決めないとな…」

悠翔は凌大さんの話を聞いて、どうやら焦っているみたいだ。

「そうだね。また来週も式場の下見に行こっか」

来週も下見に行って、式場が決まるかどうかは分からない。
でも今は立ち止まらずに、少しでも行動を起こして次へと進みたい。
だから立ち止まりたくない。これが正しいかどうかは今の私達にはまだよく分からなかった。

「そうだな。そうするか」

次で決められることを願って、また式場見学を頑張ることを決意した。
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