雨はまだ降り続いている…〜秘密の契約結婚〜
「奥様、今はありのままのお気持ちをお聞かせください。お二人の意見をまとめて、良いプランを練るのが私のお仕事ですから」

さすがプランナーさんだ。これまでたくさんのご夫婦を見てきただけある。

「あの…、私は悠翔が求めるような盛大なことはしたくないんです……」

初めて自分の本音を口にした。言えたことで心の中で抱えていた葛藤がすっきりしたが、私の本音を知った悠翔の反応が気になる。

「奥様はどういった式にしたいですか?」

私のしたい式…。今まで考えたことすらなかった。
改めて考えた時、一つの考えに辿り着いた。

「私は皆が笑顔になる結婚式にしたいです。アットホームな、そんな式に…」

それがどんなプランでできる式なのか、私には分からない。
だからこそ、プランナーさんにお話を聞いてもらって、皆で一緒に考えたい。

「奥様、お話してくださり、ありがとうございます。奥様が考えているプランですと、旦那様のプランとは少し違いますよね。旦那様は奥様のプランを聞いてどう思いましたか?」

悠翔はどう思ったのだろうか。悠翔の本音が聞きたいような、聞きたくないような…。複雑な心中だ。

「奈緒、ごめん。俺がずっと一人で暴走してた…」

悠翔だけが悪いわけじゃない。ずっと自分の本音を心の奥底にしまっていた自分が悪かっただけだ。

「ううん。悠翔のせいじゃないよ。私もごめん。ずっと自分の本音が言えなくて…」

お互いに歩み寄る努力を怠っていた。その大切さを教えてくれたのは凌大さんだったのにも関わらず…。

「そんなことない。俺のために本音が言えなかったんだろう?」

悠翔には何もかもお見通しだ。最初からちゃんと本音で話せば良かったと今更になって後悔している。

「うん。それでもちゃんと自分の本音を言えば良かったって思う」

お互いに至らなかった点に直面し、話が平行線のまま進まない。
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