救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~
 けれど、サブリナはそれをあまり嬉しく思わなかった。

(どうしてかしら……これから、私は何の不満もなく過ごすはずなのに)

 城の廊下を歩いている時、初老の男性とすれ違った。サブリナは顔を伏せ失礼のないように対応した。

「……まだ生きているのか」

 その言葉が聞こえた時、サブリナは自分が狙われたあの事件を思い出した。

(コードウェル公爵だわ……彼が、彼が私に暗殺者を……?)

 サブリナとルーファスが共に夜会に出ていた時、彼は二人を鋭い目で睨みつけていた。

 動機は全く思いつかないが先ほどのすれ違いざまの言葉を聞けば、サブリナを殺したがっていることは間違いない。

(ルーファスにこの事を相談したい……けれど、連絡方法もないんだわ……)

 そう思い途方に暮れてしまっても、もうどうしようもなかった。

 ルーファスは自らの代理を送り、サブリナの『アシエード王国を救ってほしい』という願いを聞き届けている。

 ダミアンに頼んで無理に連絡を取れたとしても、これ以上、姿を消してしまった彼に何を望めると言うのだろうか。






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