救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~
28 肉弾戦
暗い視界の中で、ルーファスはモードレッドの攻撃を一身に浴びながらも、何色もの光に包まれても歩みを止めることはない。
余裕を持ってモードレッドへと近づき、近距離になると右手を振り上げて殴りかかった。
「ぶっ……何を! お前は山に永遠に篭もってろよ! なんで、こんな場所に召喚されたんだよ!!」
「その文句は、俺に言うべきではないだろう」
細い身体は呆気なく地に落ちて、ルーファスはモードレッドの腕に持っていた杖を取り、無造作に投げた。
カンカンと金属音を立てて呆気なく転がった。
「止めろよ! あれを手に入れるために、どれだけの犠牲を払ったと思っているんだ!!」
モードレッドは甲高い声で抗議をした。
「では、後生大事に胸元にでも忍ばせていれば良いのではないか? 誰にも見せずに、誰にも知られずに……僕ならそうする。本当に大事な物ならば」
ルーファスは倒れたモードレッドの胸元を持ち、顔を引き寄せて低い声でそう言った。