まだ誰も知らない恋を始めよう
わたしは昨日。
ペンデルトン氏と握手をして。
ペンデルトン夫人と抱き合った。
「メイトリクスが得意の変身魔法で誰かに成り替わったのなら、その本人は?」
分かりきったその答えに、叔母が無言で目を伏せる。
ジャック・メイトリクスは黒魔法士。
人の命を奪う事に躊躇はしない。
「わたし、わたし……彼が自宅に戻れたら安全だと思ったの」
これで安心出来るって思ったのに。
ご両親のどちらかが、メイトリクスだったら?
わたしは敵の元へフィンを送り込んだの?
あの男は何をする? 観察するだけで満足する?
自宅に戻ってきたフィンに、新たな魔法を重ねて掛ける?
いや、それ以上に恐ろしいのは、現在の仮の姿を捨て、今度はフィンに。
姿を消した御曹司フィニアス・ペンデルトンに成り替わる?
それが、最終的なメイトリクスの狙いなら?
「落ち着いて、ダニエル」
最悪の可能性を考えたわたしに、落ち着くように、叔母が声を掛ける。
「えっ、ええ、でも。
わたし、直ぐに」
「直ぐに? 何処へ?」
「行って、会って、教え」
「だから、何処へ行って、誰に会うの?」
だから! わたしはこれからフィンに!
フィンに会って!
もう叔母に返事する余裕も無く、立ち上がったわたしの手を叔母が掴んだ。
「どうして、人って恋をすると冷静じゃいられなくなるのかしらね?」
ペンデルトン氏と握手をして。
ペンデルトン夫人と抱き合った。
「メイトリクスが得意の変身魔法で誰かに成り替わったのなら、その本人は?」
分かりきったその答えに、叔母が無言で目を伏せる。
ジャック・メイトリクスは黒魔法士。
人の命を奪う事に躊躇はしない。
「わたし、わたし……彼が自宅に戻れたら安全だと思ったの」
これで安心出来るって思ったのに。
ご両親のどちらかが、メイトリクスだったら?
わたしは敵の元へフィンを送り込んだの?
あの男は何をする? 観察するだけで満足する?
自宅に戻ってきたフィンに、新たな魔法を重ねて掛ける?
いや、それ以上に恐ろしいのは、現在の仮の姿を捨て、今度はフィンに。
姿を消した御曹司フィニアス・ペンデルトンに成り替わる?
それが、最終的なメイトリクスの狙いなら?
「落ち着いて、ダニエル」
最悪の可能性を考えたわたしに、落ち着くように、叔母が声を掛ける。
「えっ、ええ、でも。
わたし、直ぐに」
「直ぐに? 何処へ?」
「行って、会って、教え」
「だから、何処へ行って、誰に会うの?」
だから! わたしはこれからフィンに!
フィンに会って!
もう叔母に返事する余裕も無く、立ち上がったわたしの手を叔母が掴んだ。
「どうして、人って恋をすると冷静じゃいられなくなるのかしらね?」