まだ誰も知らない恋を始めよう
 何故だかヒューゴさんはご機嫌で、わたしも誘ってくれるけれど、辞退した。
 今は食欲が無くて、人とおしゃべりするのもキツい。
 特に育ち盛りのオルくんと並んで食事などしたら、わたしの食の細さが目立って、ヒューゴさんに心配を掛けてしまう。


「じゃ、また誘うから、次は一緒に行こう」

 ヒューゴさんが着替えてくるまで、オルと待っててくれ、と言われたので、それまでなら、と一緒に待つ事にした。 
 口では、わたしにボロクソに言うオルくんだが、本心からではないので、彼の心の内は読めないし、家に帰っても誰も居ないし、することも無いから急ぐ必要はない。


 お兄さんとはどうなのよ? と聞かれ、彼が入院中で、記憶喪失になったので、もう会わない、と話した。



 そして、わたしとオルくんとの会話は冒頭に戻る。


「あのさぁ、それって、あのオバハンに引っ掛かったんじゃねぇの?
 素直に騙されちゃって、あんた馬鹿?」

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