まだ誰も知らない恋を始めよう
 大学生ともなると、週末の金曜日はあちこちの学生寮やシェアハウスなんかで集まって、色んな理由を付けてパーティーが開かれている。
 誰でもウェルカムみたいなその集まりは単に騒いでるだけではなくて、そこで人脈を広げる、みたいな側面もあって。

 俺もあまりパーティーは得意じゃないけど、知り合いが主催する集まりには開始1時間のみの顔出しだけはしている。
 そんな感じで出入り自由だし、参加する人間は多いのにダニエルは全て欠席している、とフレディが教えてくれる。


「どーした? フィンが女の子の話題を出すの、珍しいな」

「……いや、女の子って思ってなかった」

「だよね、女の子なのにダニエル、って名前じゃね。
 見た目も地味よ、古くさいデザインの眼鏡かけて、教授のご機嫌取りに必死になってるらしくて、友達がいないのも納得、って感じの子だから」

 俺とフレディの話に割り込んでくるのはいいが、ダニエルと知り合いでもないくせに彼女についての物言いが感じ悪くて、ムカつくマーゴットは無視した。


 地味とか眼鏡とか、見た目は関係無いんだよ。
 教授のご機嫌取りだって、奨学金維持に必要だったら当たり前だろ。
 ただ俺はダニエル・マッカーシーと友達になりたいだけなんだよ。
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