まだ誰も知らない恋を始めよう
 あぁ、それでか……
 話してみれば、決して暗い性格じゃないダニエルが友達が少ない、と言われるわけも。
 付き合う相手を選んでるんだ。


「一緒に行動する友達はステラさんくらい?
 彼女はいいひとなんだ?」

「うん、いいひとだよ。
 口では何だかんだキツく言っても、わたしが戻ってくるのを待っててくれたでしょ?
 貴方と友人だって言う彼女の嘘も、可愛いと思わない? 
 故意に相手を傷付ける嘘はつかないひとだから、わたしは……
 もし、ロジャー・アボットが彼女を騙してて、噂を広めるのを手伝わせているのなら。
 貴方の件も含めて、わたしは絶対にロジャーを許せない」 

 そう宣言して、両手の拳を握った彼女を見て、格好いいな、と俺は思った。
 その握った右手はステラ嬢のため、左手は俺のためならいいのに。

 俺の目を見て。
「ロジャーを許せない」と言いきったダニエルは、臆病者なんかじゃないし。


 今は綺麗な瞳の妖精じゃなくて、打倒悪に燃える熱い眼差しの勇者に見えた。
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