月が、綺麗だったんだ
「いつ、こっちに戻ってきたん?」
「二週間くらい前」
最後の一口になったアイスを、一気に口に入れた。
木の棒だけが残り、それが“ハズレ”であることを知ってしまった。
こんなの、子供だましってわかってるのに。
「……ハズレだった」
自分でもびっくりするくらい、ショックを受けていた。
「日頃の行いが悪かったんじゃね」
いつもだったら、流す言葉。
でも今は、変に重く受け取ってしまった。
「てか、結構最近戻ってきてたんだな」
「……まあね」
戻ってきた理由。
それを言うのは、抵抗があった。
だからさっきから言葉を濁しているわけだけど。
でもどうせ、琉唯は聞いてくる。
だったら、先に言ってしまおう。
「……彼氏と同棲してたんだけど、捨てられてさ」
空気で、琉唯が戸惑っているのがわかる。
私だって、急にこんな話をされたら、なんて言えばいいのか迷う。
「ほら、私って日頃の行いが悪いみたいだし?」
さっきの琉唯の言葉を、あえて使ってみたけれど。
琉唯は苦虫を噛み潰したような顔をしている。
ここで笑っているのは、ただの強がり。
笑わないと、心が壊れそうで。
だからお願い。
琉唯も、笑ってよ。
そんな、可哀想な子を見るような目をしないで。
琉唯の視線から逃げるように、私は足元に視線を移した。
「……他に好きな人ができたからって、部屋追い出されて。でも、すぐに家なんて見つかるわけないし、とりあえず実家に戻ったのが、二週間前」
親にも、友達にも言えずにいた、アイツの話。
雰囲気に流されてしまったのか、気持ちに整理がついたのか、それとも一人で抱えきれなくなったのか。
自分でもどれなのかわからないけど、ゆっくりと話していく。
「お互い仕事してるとね、すれ違う時間が増えるの。で、少しずつ気持ちに余裕がなくなっていって、家の中の空気なんて最悪」
「二週間くらい前」
最後の一口になったアイスを、一気に口に入れた。
木の棒だけが残り、それが“ハズレ”であることを知ってしまった。
こんなの、子供だましってわかってるのに。
「……ハズレだった」
自分でもびっくりするくらい、ショックを受けていた。
「日頃の行いが悪かったんじゃね」
いつもだったら、流す言葉。
でも今は、変に重く受け取ってしまった。
「てか、結構最近戻ってきてたんだな」
「……まあね」
戻ってきた理由。
それを言うのは、抵抗があった。
だからさっきから言葉を濁しているわけだけど。
でもどうせ、琉唯は聞いてくる。
だったら、先に言ってしまおう。
「……彼氏と同棲してたんだけど、捨てられてさ」
空気で、琉唯が戸惑っているのがわかる。
私だって、急にこんな話をされたら、なんて言えばいいのか迷う。
「ほら、私って日頃の行いが悪いみたいだし?」
さっきの琉唯の言葉を、あえて使ってみたけれど。
琉唯は苦虫を噛み潰したような顔をしている。
ここで笑っているのは、ただの強がり。
笑わないと、心が壊れそうで。
だからお願い。
琉唯も、笑ってよ。
そんな、可哀想な子を見るような目をしないで。
琉唯の視線から逃げるように、私は足元に視線を移した。
「……他に好きな人ができたからって、部屋追い出されて。でも、すぐに家なんて見つかるわけないし、とりあえず実家に戻ったのが、二週間前」
親にも、友達にも言えずにいた、アイツの話。
雰囲気に流されてしまったのか、気持ちに整理がついたのか、それとも一人で抱えきれなくなったのか。
自分でもどれなのかわからないけど、ゆっくりと話していく。
「お互い仕事してるとね、すれ違う時間が増えるの。で、少しずつ気持ちに余裕がなくなっていって、家の中の空気なんて最悪」