虐げられ続けた私ですが、怜悧な御曹司と息子に溺愛されてます
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婚約したと公にしていても、ふたりの関係は第三者から見ればじれったいようだ。
仕事ばかりしている岳と真矢を見て、華怜は思うところがあったらしい。
ある日、華怜がマンションを訪ねてきた。
「きちゃった!」
華怜は正式に紹介されるのまで待ちきれなかったようで、仕事帰りに押しかけてきた。
たまたまふたり揃って帰宅したところだったから、いきなり現れた華怜に岳は塩対応だ。
「前もって連絡くらいしろ」
「だって、お兄さんたらいつまでたっても真矢さんを家に連れて来ないんだもん」
「父さんがアメリカから帰国して、企画書を見せてから紹介するって言っただろう」
「待てなかったの」
岳は憮然としていたが、真矢は会社にいる時とは別人のような華怜の姿に驚いた。
「会いたかったわ、真矢さん」
仕事のできるクールな女性というより、兄に甘えるいたずらっ子のような表情だ。
「私のほうが年上だから、お義姉さんというより真矢さんって呼ばせてね」
「はい。よろしくい願いいたします」
「固くならないで。家族になるんだから、お互い楽にいきましょ」
「楽に? ですか?」
まさかそんな言葉を聞くとは思わなかった。