虐げられ続けた私ですが、怜悧な御曹司と息子に溺愛されてます


突然マンションにやってくるくらいだから、真矢は華怜から「急いで企画を仕上げて」と言われると思っていた。
そもそも「都々木家にふさわしくない」と反対される覚悟だってしていた。
だが華怜はそのどちらでもなく、真矢に好意的なのだ。

「兄と働くときは、ほどほどにね。ブレーキかけないとたいへんよ」

「は、はい。気をつけます」

いつも仕事ばかりしているふたりには、なんだか耳が痛い話だ。

「体が大きな分、普通の人より情報処理能力が高いのかしらね~」

クスクス笑いながら、華怜は岳をからかっている。

「それより真矢さん、明日のお休みに買い物に行きましょうよ」
「え?」

「お父様に会うときとか、本社で仕事するとき、もう少しおしゃれしたほうがいいわ。それからパーティードレスもいるわね」

突然の華怜からの申し出に、真矢はびっくりした。めったに会社で顔をあわせていないのに、どうやら服装をチェックされていたようだ。
スーツケースひとつで東京に来たから、真矢は仕事用に近くのデパートで何着か服を買っていた。
ブラウスやシャツで何パターンかにアレンジしていたが、華怜には合格点がもらえなかったようだ。

「それもそうだな。悪い。気がつかなかった」

「だと思った。真矢さん、覚悟して。あなたは都々木岳と婚約したのよ」
「すみません」

「謝らなくていいわ。これからが、本当の勝負よ」

真矢には華怜の言う「勝負」という意味が半分もわからなかったが、翌日ふたりで買い物に出かけた先で理解できた。


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