虐げられ続けた私ですが、怜悧な御曹司と息子に溺愛されてます
翌日、華怜が自らハンドルを握ってなじみの店に案内してくれた。
そこは有名なデザイナーの店で、華怜はそこの上得意らしい。
それが逆に客たちからの注目を集めてしまって、真矢は様々な視線にさらされる。
女性たちからの興味や関心に満ちたものだ。
華怜と一緒に買い物をしているというだけで、どこの誰だと詮索されているのだろう。
「ワンピースは柔らかい色にしましょうか。兄の好みは寒色系だけど、時にはオレンジとかピンクとかでもいいでしょ」
着せ替え人形のようにくるくると服を変えているうちに、もう何着目なのかわからなくなってきた。
「これ、通勤用のスーツにいいわね。そっちのジャケットも、いただくわ」
「はい、都々木様」
店長自ら出てきて、華怜の指示に従っている。真矢も言われるがまま試着していくだけだ。
華怜は真矢が口を挟む間を与えないくらい精力的で、ブティックを丸ごと買いそうな勢いだ。
支払う額を考えると、真矢は通帳の残高を考えてドキドキしてきた。
「お着物は母に任せるから、とりあえずこれくらいかしら」
「すぐにお届けいたしますね」
真矢は届け先、つまりマンションの住所が書けないことに気がついて慌ててしまった。
華怜がかわりに伝票に書いてくれている間に、せめて会計くらいはと真矢が財布からカードを出そうとした。
すぐに華怜から「兄のカードを持たされたから、大丈夫よ」と、あっさり支払われてしまった。
華怜に礼を言うと、「そこは兄に直接言ってね」と笑っている。
店員たちに見送られて店を出て、再び華怜の車に乗る。
「あ~楽しかった。見た、店にいた人たちの顔」