虐げられ続けた私ですが、怜悧な御曹司と息子に溺愛されてます
熱いキスを交わすことはあっても、まだふたりは結ばれてはいなった。
おそらく岳は、仕事のけじめがつく日を待っていてくれたのだろう。
その日はとんでもない混乱を招いてしまったが、収まるべくして収まった。
深緑のカーテンは閉じられたままだから、岳の寝室はまるで夜の森の中にいるようだった。
「真矢」
「はい」
「君を抱くよ」
「岳さん」
ベッドのふちに腰かけると、岳の大きな体が覆いかぶさってくる。それは少しも重くなくて、真矢への負担がないよう気遣ってくれているのがわかる。
ジャケットを脱がされ、柔らかなブラウスの上から岳の手が触れてくる。
真矢の背、真矢の胸、すべてを確かめるように。
されるがままに目を閉じていたら、ふいにまぶたにキスを落とされた。
「真矢、目を開けて」
うっすらと目を開けると、筋肉もあらわな岳の上半身が見える。
たくましい腕は、真矢の体の両脇にあった。
「俺を見て。君を抱いている姿を」
「あっ」
やわやわと胸に触れられて、真矢はいつの間にか自分も素肌だと気がついた。
キスが熱い。首筋には、リップ音とともに軽い痛みが走る。
「真矢」
「岳さん、私」
初めてだと言うべきかどうか迷ったが、すぐにそんな考えは霧散した。
岳に与えられる刺激に、もう思考はどこかに飛んで行ってしまったのだ。