虐げられ続けた私ですが、怜悧な御曹司と息子に溺愛されてます
翌日、真矢は女将に言われた通りに客を迎える準備を整えた。
応接室の掃除をして、予定の時間になったので茶の支度を始めたら、陽依が姿を見せた。
「あら、その恰好でいいの?」
「え?」
その格好と言われても、いつもの藤色の着物に濃紺の帯を締めている。仲居用のお仕着せにおかしなところはないはずだ。
「あの、どこかおかしいですか?」
「真矢がいいのなら、別にかまわないけど」
陽依の言いたいことがわからなくて、真矢は手を止めてしまった。
「真矢さん、女将さんが呼んでますよ。お客様にお茶を出してくださいって」
もう陽依は背を向けている。
「わかりました」
緑茶をほどよい加減に淹れてから、応接室に運んだ。
ノックして入ると、応接セットには叔父たちと向かい合うように男性が座っていた。
「いらっしゃいませ」
丁寧に挨拶して、真矢がテーブルに茶を置いた。
「真矢、こちらは市議会議員の高杉様。高杉建設の社長さんでもあるの」
紹介された男性は、少し微笑むとあらためて真矢に向き合った。
「高杉仁です。よろしく」