虐げられ続けた私ですが、怜悧な御曹司と息子に溺愛されてます



「すみません。こんな面倒な話をしてしまって」

思わず謝ると、岳は深いため息をついてから真矢をじっと見つめてきた。

「いや、かえってよかったよ。買収計画で揺さぶったら、こんな方向に暴走するとは想像を超えているな」

岳と話していて、真矢は一番大切なものを渡していなかったことに気がついた。

「あの、以前お話していた企画書をお持ちしました」

一生懸命考えた対鶴楼の再建計画書だ。これだけは忘れないように持参していたのだ。

「こんなものがお役に立ちますでしょうか?」

さらさらとページをめくりながら岳は満足気だ。

「これをもとにして、新しい企画を考えていこうと思う」

実際に町を見て何か感じることがあったのか、岳は大きな事業に取り組みたいという。

「買収するのは簡単だ。俺は町全体のビジョンを含めて対鶴楼を再生したい」

ひとつの旅館の再建ではなく、時代に取り残された町ごと改革していきたいという夢が生まれたと岳は話してくれた。

「壮大な計画ですね」
「実現するかどうかは、まだわからない」

だがチャレンジするなら今だと、岳は言う。
岳が対鶴楼への支援だけでなく、あの町の将来まで考えてくれていると知って真矢の胸は熱くなってくる。



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