虐げられ続けた私ですが、怜悧な御曹司と息子に溺愛されてます
「たしかに企画は受け取った。それで、これからのことなんだが」
「はい」
岳の考えを聞いて、真矢も明るい未来を描きたくなってきた。もし仕事を与えてもらえるなら、岳の期待に応えたいとさえ思う。
「君は高杉さんと結婚したくはないんだね」
「もちろんです。対鶴楼のことで頭がいっぱいなのに、今は結婚なんて考えられません」
これまでも仕事最優先だったから、いきなり結婚といわれても真矢は受け入れられない。
「それなら、俺が相手ならどうだい」
「え?」
「俺と結婚するしかないな」
空耳かと思うくらい、真矢の頭の中を知らない言葉が流れていった。
(俺が相手? 結婚する? どういうこと?)
「君を守るためだ。考えてくれないか」
仕事の進め方について話しているつもりだったのに、いつの間にか真矢との縁談になっている。
いくつものクエスチョンマークが浮かんだまま岳の目を見ると、まっすぐに真矢の瞳をのぞき込んでいる。
「君と結婚するって言ったら、対鶴楼の支配人たちはどうするだろうね」
「それは……」
高杉との結婚を堂々と断れるし、明都ホテルグループが対鶴楼を支援してくれる理由にもなる。
真矢と岳が結婚するから、買収から支援に計画が変更になったくらいには話を盛ってもいいかもしれない。
どちらも真矢にとって願ってもない話だが、岳がこんな手を考えている理由がわからない。
「とりあえず、婚約しよう」