神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

sideナジュ

―――――…その頃、『アメノミコト』の暗殺者に拉致され、ジャマ王国に連れてこられた僕は。

両手両足を縛られ、更に口には布切れを押し込まれ、ズタ袋を頭から被せられて視界を奪われた状態で。

何やら乗り物に乗せられ、何処かに連れて行かれている真っ最中だった。

絶体絶命のピンチ、って感じの状況ですが。

不思議と、僕の頭の中は非常に冷静だった。

ルーデュニア聖王国に残してきた天音さんは、僕を行かせてしまったことを死ぬほど後悔していたし。

羽久さんや学院長も、今頃、僕のことを心配してくれているのだろうが。

連れ去られた当の僕は、割と余裕だった。

何なら、ちょっと旅行気分でさえあった。

ほら、僕、ジャマ王国行ったことないんですよ。

初めて行く国って、何だかわくわくしますよね。

それに、ジャマ王国は令月さんとすぐりさんの故郷。 

あの二人が育った国…。興味ありますね。

どんな国なのか、是非ともこの目で見てみたいですよ。

『アメノミコト』が怖くないのか、と聞かれても、僕はちっとも怖くなかった。

何度考えたって、自分が大人しく投降したことに後悔はなかった。

天音さんを人質に取られた以上、あの時はああするしかなかった。

ほら、僕、不死身ですから。

例え何があっても、僕が死ぬことはない。

だったら、確実に天音さんを守ることを選ぶべきだった。

だから後悔はしていない。

僕は死にませんから。例え『アメノミコト』に監禁されて、そのまま10年、100年、1000年経ったって。

死なない限り、いずれ必ず、ルーデュニア聖王国に帰れる日が来るだろう。

その時を気長に待てば良い。そのくらい、軽い気持ちでいた。

いやぁ。不死身って最強ですね。

幸い何年経ったって、学院長や天音さんは、イーニシュフェルト魔導学院で待っててくれそうですしね。

あ、でもその頃には、学院長が老人ホームに追いやられて、イレースさんが学院長になってるかも。

うーん…。…それはそれで面白そうだから可。

…だけど、出来ることなら。

僕はどうせ死なないから、僕の身がどうなっても構わないけど。

同じく『アメノミコト』に囚われているであろう、令月さんとすぐりさんは、ルーデュニア聖王国に返してあげて欲しかった。

僕と違って、あの二人には未来がありますから。

そこのところ、上手いこと『アメノミコト』のお偉いさんと交渉出来ないだろうか…。




…と、考えていたのだが。

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