神殺しのクロノスタシス7〜前編〜
…フユリ様との謁見を行なった、その二日後。
俺とシルナは、イーニシュフェルト魔導学院の玄関の前に立っていた。
「…おい…。シルナ、そろそろ行くぞ」
「ちょっと、ちょっと待って羽久。…やっぱりチョコシュークリームも持っていくべきかな…?」
「…」
…出発間際になったというのに、まだ荷物のことでうだうだ言ってやがる。
つーか、シュークリームって要冷蔵だろ。そんなもの持っていくな。
「くれぐれも気をつけてね、学院長先生。羽久さん…。…絶対に無事で帰ってきて」
見送りに来てくれた天音が、切実な表情で訴える、その横で。
「お土産よろしくお願いしますね」
…非常に呑気な餞別の言葉を送るナジュ。
お土産なんて買ってる余裕、あるのか?
「お前な…。もうちょっと、少しくらい…」
「大袈裟に心配して欲しいんですか?」
「…いや、別にそういう訳じゃないけど」
良いよ。分かったよ。
俺だって心配かけたくないないからな。
「…それから、イレース。心配ないとは思うけど、俺達がいない間、学院のことを頼むな」
俺は、同じく見送りに来てくれたイレースにそう頼んだ。
しかし、イレースは。
「当然です。パンダが留守の間に、緩みきった学院の風紀を正さなくては。まずは手始めに、今日から宿題強化週間を始めるつもりです」
「えぇぇ!生徒が可哀想!」
思わずシルナが叫んでいたが、イレースは既にやる気満々だった。
あぁ…。生徒達が、宿題の犠牲に…。
「それから、次の定期試験に向けた補習授業。それに実技授業の特別稽古も…。…あぁ忙しい忙しい。当分帰ってこなくて良いですよ」
「あぁぁ…。イレースちゃんが酷いよぅ…。…生徒が可哀想…」
…出来るだけ早めに帰ってこような、シルナ。生徒達の為にも。
「…マシュリ…。…生徒のケア、頼む」
「僕で良ければ」
こういう時こそ、イーニシュフェルト魔導学院の癒し猫、いろりの出番である。
生徒達を慰めてやってくれ。頼むから。
そして。
「学院長、羽久。これ、僕からの餞別」
「ん…?…何これ?」
令月が、小さな風呂敷包みを俺に差し出した。
「僕が選んだ、暗殺便利道具。やっぱりいざという時の備えは必要だと思って」
どういう時の備えだよ。
ちょ、余計に不安が募るからやめてくれって。
「暗殺便利道具って…。…何が入ってるんだよ?」
「まずは、僕が昔からよく利用してる、手作りの毒針」
ひぇっ。
「遅効性のものと即効性のもの、二種類用意してあるから。用途に分けて使い分けてね」
「いや、使わない。使わないって」
「それから、僕が自ら研いだツールナイフ。小さいけど、切れ味は抜群だから。指くらいならあっという間に切断出来るよ」
再び、ひぇっ。
「それに、もし捕まった時用の脱獄道具も。ヘアピンとクリップと、針金と…」
出るわ出るわ。元暗殺者令月の、よりすぐりの暗殺便利グッズの数々が。
これ、使い方を誤ると、むしろ俺達の方が殺されかねないんだが?
俺とシルナは、イーニシュフェルト魔導学院の玄関の前に立っていた。
「…おい…。シルナ、そろそろ行くぞ」
「ちょっと、ちょっと待って羽久。…やっぱりチョコシュークリームも持っていくべきかな…?」
「…」
…出発間際になったというのに、まだ荷物のことでうだうだ言ってやがる。
つーか、シュークリームって要冷蔵だろ。そんなもの持っていくな。
「くれぐれも気をつけてね、学院長先生。羽久さん…。…絶対に無事で帰ってきて」
見送りに来てくれた天音が、切実な表情で訴える、その横で。
「お土産よろしくお願いしますね」
…非常に呑気な餞別の言葉を送るナジュ。
お土産なんて買ってる余裕、あるのか?
「お前な…。もうちょっと、少しくらい…」
「大袈裟に心配して欲しいんですか?」
「…いや、別にそういう訳じゃないけど」
良いよ。分かったよ。
俺だって心配かけたくないないからな。
「…それから、イレース。心配ないとは思うけど、俺達がいない間、学院のことを頼むな」
俺は、同じく見送りに来てくれたイレースにそう頼んだ。
しかし、イレースは。
「当然です。パンダが留守の間に、緩みきった学院の風紀を正さなくては。まずは手始めに、今日から宿題強化週間を始めるつもりです」
「えぇぇ!生徒が可哀想!」
思わずシルナが叫んでいたが、イレースは既にやる気満々だった。
あぁ…。生徒達が、宿題の犠牲に…。
「それから、次の定期試験に向けた補習授業。それに実技授業の特別稽古も…。…あぁ忙しい忙しい。当分帰ってこなくて良いですよ」
「あぁぁ…。イレースちゃんが酷いよぅ…。…生徒が可哀想…」
…出来るだけ早めに帰ってこような、シルナ。生徒達の為にも。
「…マシュリ…。…生徒のケア、頼む」
「僕で良ければ」
こういう時こそ、イーニシュフェルト魔導学院の癒し猫、いろりの出番である。
生徒達を慰めてやってくれ。頼むから。
そして。
「学院長、羽久。これ、僕からの餞別」
「ん…?…何これ?」
令月が、小さな風呂敷包みを俺に差し出した。
「僕が選んだ、暗殺便利道具。やっぱりいざという時の備えは必要だと思って」
どういう時の備えだよ。
ちょ、余計に不安が募るからやめてくれって。
「暗殺便利道具って…。…何が入ってるんだよ?」
「まずは、僕が昔からよく利用してる、手作りの毒針」
ひぇっ。
「遅効性のものと即効性のもの、二種類用意してあるから。用途に分けて使い分けてね」
「いや、使わない。使わないって」
「それから、僕が自ら研いだツールナイフ。小さいけど、切れ味は抜群だから。指くらいならあっという間に切断出来るよ」
再び、ひぇっ。
「それに、もし捕まった時用の脱獄道具も。ヘアピンとクリップと、針金と…」
出るわ出るわ。元暗殺者令月の、よりすぐりの暗殺便利グッズの数々が。
これ、使い方を誤ると、むしろ俺達の方が殺されかねないんだが?