泣ける程に愛してる。
それから時間は過ぎ、定時間近になり、みんな帰り支度を始め出す。
すると、息を切らせた啓人が外回りから戻って来た。
「はぁ、間に合った。」
額に汗を滲ませ、そう呟きながらこちらへ近付いて来る啓人は、「さて、そろそろ帰るか。」と言った。
「啓人、急いで戻って来てくれたの?」
「えっ?あ、まぁ、ちょっと急いだくらいだよ。このくらいで息上がるなんて、運動不足だなぁ。」
そう言って笑う啓人の姿に、周りの女性社員の「蓮見部長かっこいい。」と言う声が聞こえてくる。
わたしはバッグを持ち、肩に掛けると啓人に続き会社を出た。
そして車に乗り、啓人は車を出すと「で?今日は何があった?」と早速訊いてきたのだ。
「だから、別に何もないって。」
「もしかして、女子社員に何か言われたとか?」
うっ、、、何で分かるの?
まぁ、直接的に言われたわけではないけど、、、
わたしが啓人の言葉に黙り込むと、啓人は「やっぱりそうなのか。」と言い、わたしは「まぁ、、、そんなとこかな。」と答えた。
「みんな勝手なこと言ってくれるよなぁ。それにしても、俺の嫁を傷付けるとは、、、許せん。」
「今だけの嫁ね。」
「今だけだとしても俺の嫁に変わりはない。今度言われたら、俺に報告しろ。言い返してやるから。」
「そんなの別にいいよ。わたしは平気だから。」
わたしがそう言うと、啓人は「さっき平気そうな顔してなかったけど?」と言った。
「俺は、咲には笑っていて欲しいんだ。だから、、、何かあったら、俺に言え。俺は、、、咲の夫であって、味方なんだからさ。」
嬉しかった。
啓人の今の言葉が、もし一時的な言葉だったとしても、その場しのぎで言った言葉だったとしても、わたしにとっては救いの言葉だった。