泣ける程に愛してる。

「今日さ、、、さっきも言ったけど、専務に子どもの話をされてさ。もう35なんだから子ども作るなら、早い方がいいぞ〜って。その話が、、、俺にはツラくてさ。俺には、、、縁の無いことだから。」
「そんなことないじゃない。わたしと離婚したあとで、別の誰かと結婚したら、」

わたしがそう言うと、啓人はわたしの言葉を遮るように「いや、そうゆうことじゃないんだ。」と言った。

「俺、、、無精子症なんだ。男性不妊ってやつ。だから、、、子どもが作れない身体なんだよ。」

啓人の言葉に、わたしは驚きよりも胸が苦しくなって、涙が出そうになった。

何でわたしは、、、そんなツラい事を言わせてしまったんだろう。

「それが分かったのは、5年前くらいかな?もう30になるし、そろそろ遊んでばかりいられない。将来の事を考えて真面目にならなきゃって時に、好きだと思える人が出来て、付き合い始めて、プロポーズした。それで婚約した時に、相手からブライダルチェックを受けて欲しいって言われて、、、咲、ブライダルチェックって分かるか?」

啓人の言葉に、わたしは頷き「分かるよ。」と答えた。

「それで、それを俺は気軽にって言ったらおかしいけど、、、何もない自信があって受けた。そしたら、、、自分が男性不妊だって分かって、言いづらかったけど、婚約者に報告した。その時の俺は、どこかで"気にしないよ。"とか"二人で生きていけばいいじゃない。"なんて甘い言葉を期待してたけど、婚約者はそれを聞いて"じゃあ、この話は無かったことにしてください。"って、あっさり婚約破棄された。自分が原因とはいえ、ショックだったよ、、、。勝手に裏切られた気分になってさ。それから、俺は結婚を諦めた。誰かと付き合う事も勿論しない。この歳で付き合えば、必ずその先には"結婚"って言葉が付き纏ってくるし、また同じ事を繰り返したくなかったから。」

悲しげに話す啓人の言葉に、わたしは涙が溢れて止まらなかった。

すると、啓人はわたしを見て切なげに笑い「何で咲が泣いてんだよ。」と言った。

「だって、、、そんなツラいこと、、、言わせてごめん。」

わたしがそう言うと、啓人はわたしを見つめ、そして少しこちらに身体を寄せると、わたしに手を伸ばし、抱き寄せた。

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