泣ける程に愛してる。

「この一年、結婚というものを味わわせてくれてありがとう。前も言ったけど、相手が咲で本当に良かった。咲だから、何気ないことが楽しくて、小さなことも幸せに感じて、、、そんな咲が愛しくて、咲を笑顔にしたい、咲を幸せにしたいと思いながら過ごして来た。」

わたしは、啓人の言葉を涙を流しながら黙って聞いていた。

これから離婚するってゆうのに、何でそんなこと言うの?

尚更、別れがツラくなるじゃない、、、

「実はさ、俺、、、ずっと前から咲のことが好きだったんだ。」
「えっ、、、?」
「契約結婚をする、ずっと前から。俺が咲の教育係りになってさ、仕事に対して真面目で一生懸命な咲を気付けば目で追うようになってて、、、誰よりも一生懸命な咲の姿に惹かれていった。でも、咲は俺のことなんて眼中になくてさ。いつも悪い男に裏切られた話を聞いては、その男に苛々してた。」

啓人はそう言うと、微かに笑った。

「そんな時にさ、専務からお見合い話がきて、、、俺は結婚なんて出来る身分じゃないから、婚約者がいるって嘘ついた。そしたら、誰なんだ?って聞かれて、一番最初に頭の中に浮かんだ顔が咲だった。きっと、俺の願望で咲が出てきたんだろうな。咲が、、、婚約者だったらいいのにって。」

啓人はその時の事を思い出すかのように宙を見つめ、「だから、つい咲の名前を出しちゃったんだ。」と言った。

「咲には迷惑をかけたけど、俺には幸せな結婚生活だった。夢のようだった。このまま、咲の隣で咲の笑顔を見ていたいなんて、、、そんな我儘なこと思ったりして。でも、咲には幸せになって欲しいから、、、。いつか、今までのクズ男じゃない良い男を見つけて、幸せにしてもらえよ!そして、温かい家庭を築くんだぞ!」

啓人はそう言いながら、薄っすらと瞳に涙を浮かべていた。

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