相思相愛・夫婦の日常~ひか♡ちな編~
次の日。

いつものように仕事に行く光琉についていく、千波。
玄関の鍵を閉めて、エレベーターに向かう。

「はぁ…」
切なく瞳を揺らし、今にも泣きそうな千波。
光琉の腕にべったりくっついている。

「今日は、早く帰れるかもなんだ!」

「ほんと!?」

「うん!
最近残業が続いてるから、早く帰れる時は帰れって言われてて!」

「フフ…嬉しい!」
嬉しそうに笑う。
そんな千波の頭をポンポンと撫でて「できる限り早く帰るからね!」と光琉も微笑んだ。

エレベーターが来て、乗り込み“閉”のボタンを押そうとすると………

「あ!乗りまーす!」
イタノが駆け込んできた。
そして「すみません!」と小さく頭を下げた。

「あ、イタノさん」

「あ、おはようございます!」

「おはようございます!
あ、ひかくん。この方だよ!イタノさん」

「あぁ…!
おはようございます!」
微笑み挨拶するが、貼り付けたような笑顔で気持ちがこもっていない。

「あ…おはようございます。
イタノです、どうも」
(怖っ!)

「………」
敵意を持ったような光琉の雰囲気。

イタノもなんとなく、敵意を持ってしまう。
「あ!かつサンド、どうでした?」

「あ…えーと……
わ、私にはちょっと辛くて…」

「あ…辛いの苦手でした?」

「すみません。
ピリ辛くらいなら、なんとか……
あ、でも!旦那さんは美味しいって食べてましたよ!
ありがとうございました!」

「そうなんですね!
手は大丈夫ですか?」

「あ、はい!」

「あまり、無理しないでくださいね!」

「はい」

エレベーターが一階に着き、三人が降りる。
イタノは「お先に」とマンションを出ていった。

「じゃあ…ね?」
千波に手を握り、顔を覗き込む光琉。

「うん…
気を付けてね…」
千波は、切なく微笑んだ。

「うん。
手、無理しないで?
お昼ご飯も、なんか買って食べな?」

「うん」

「掃除と洗濯は、俺が帰ったらするからしなくていいからね」

「それくらいは出来るよ?」

「ダメ!
約束!」

千波が頷き、もう一度頭を撫でて、光琉はマンションを出ていった。


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