相思相愛・夫婦の日常~ひか♡ちな編~
光琉が駅に向かうとイタノもいて、また一緒になった。

「………」
「………」

「………」
「………」

互いに話しかけることもなく、電車が来るのを待つ。
少しして、イタノが声をかけてきた。

「あの」

「はい?」

「可愛い人ですね。奥さん」

「は?
………はい、誰よりも可愛いですよ」
今は千波がいるわけでもないので、真顔だ。

「あ、変な意味ないですよ?
人妻に手を出すつもりないし」

「………」
(当たり前だろ!
てゆーか、お前レベルがちなちゃんに気安く声かけんな!)

「大変そうですね、旦那さん」

「は?」

「“あのレベル”の奥さん持つと、心配でしょ?
モテるだろうし」

そこまで話すと、電車が来て二人は乗り込んだ。
イタノはそのまま前の方に言ったので、話はここまでで終わった。

なんだか、気分の晴れない時間だった。


「――――――はぁ…
寂しい…」

一方の千波は、光琉のトレーナーに着替え、ソファでボーッとしていた。

何か音が欲しいと思いテレビをつけると、情報番組が映り“酒のつまみ特集”というコーナーが放送されていた。

なんとなく、テレビを見つめる。
「ん?
あ!イカの塩辛だ!」

そこに、イカの塩辛などのつまみの量り売りが流れてきた。
「これ、駅ビルの地下?」

イカの塩辛、食べたい……!

一気に元気になり、千波は着替えてマンションを出ていった。

駅ビルの地下でイカの塩辛を買い、他にも色々見て回った。
美味しそうなお菓子もあり、ふと思いつく。

(ここからなら、ひかくんの会社も近い!
差し入れとかしていいかな?)

そうすれば、少しだけでもひかくんに会える!

そんなことを考え、千波はお菓子を購入し光琉の勤める会社に向かった。

しかし会社前に着いたはいいが、光琉に電話が繋がらない。

「どうしよう……」

“あと何度か電話して繋がらなければ、帰ろう”
そう思い、近くにあるベンチに座った。

光琉の勤める会社を見上げた。
「それにしても、大きな会社……」
呟いていると……

「あれ?
井澤くんの奥さん?」

「え?」
営業から帰ってきた男性社員に、声をかけられた。

「覚えてません?ニトウです!
一度会ったと思うんだけど…」

「…………あ!」

結婚してすぐの頃。
一度だけ、どうしても光琉に会いたくて会社に来てしまった千波。
その時にニトウと一緒にいて、挨拶したのだ。


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