相思相愛・夫婦の日常~ひか♡ちな編~
「――――では、みんな食べて飲んで楽しい時間を過ごしましょう!
カンパーイ!!」

部長の挨拶で、みんなで乾杯をする。
社員達は、それぞれ会話や食事を楽しむ。

そんな中、光琉は千波との電話内容を思い出していた。

『里海ママとばったり会って、今日私が一人って話したら“夕ご飯一緒しよ”って誘ってくれたの〜!』

そう言って、嬉しそうに報告してきた千波。

(親父と母さん、ちなちゃんに“余計なこと”言わないよね……)

光琉はスマホを持ち、会場を出た。

翔琉に電話する。
『何?』

「今、ちなちゃんいるんだよね?
ちなちゃんに余計なこと言わないでね」

『は?』

「色々!」

『言わないよ。
僕達、約束したでしょ?
“ちなを守り抜くこと、絶対に手を上げないこと、時には逃げること”
光琉はちゃんと守ってるんだから、僕も余計なこと言わないよ』 

「ならいいんだ。
母さんにも口止めしておいてね?」

『わかった』

通話を切り、会場に戻る。
そして、食事を再開した。

そこにビール瓶を持ったニトウが、女性社員数人と一緒に近づいてきた。

「井澤くん、お疲れ〜」
「お疲れ様でーす!」

「お疲れ」

「井澤さんも話しましょうよー!」
「てか、あんま飲んでないじゃないですか〜!」

「俺はいいよ」

「またまた〜
飲んでください!」
女性社員にビールを注がれる。

ニトウや女性社員の話を適当に聞き流しながら、時間をやり過ごしていた。


それから解散して、部屋の露天風呂に入ることにした光琉達。
「ねぇ、4人一緒に入らなくてよくない?」

光琉が怪訝そうに言うと、ニトウが「いいじゃーん!裸の付き合いだよ!」と笑った。

光琉はため息をつき、ふとニトウの背中のタトゥーを見つめていた。

「何?」
視線に気づいたニトウが微笑んだ。

「そのタトゥー、なんか…寂しそうだね。
その“S”って、彼女とか?」

ニトウの背中には、二人の天使と天使が持っているハートが彫られていた。
そのハートには“S”のイニシャルが入っている。

「え?
…………よくわかったね…(笑)」

「なんとなく…」

「もういないんだ…」

「え?」

「あ!ごめん!
暗い話になる!
えーと……井澤くんは?
井澤くんも、イニシャルが入ってる!
それ、奥さん?」

「うん」

「へぇ~、どんな人?」

「どんな?」

千波の笑顔が思い浮かんだ――――――

「可愛い人」

「それは、見りゃあわかる!(笑)」

「………」

可愛くて、甘えん坊で、寂しがり屋。
でも、いつも真っ直ぐで明るい。

真っ黒な闇の中にいる俺に、光をくれる人。
優しさと温かさをくれた人。


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