上司と始める秘密の子作り契約?!~あなたのことを好きになってもいいですか~
 新藤さんは、ジッと私を見据えるように見つめてくる。

 (今までの会話からそういう話に持って来れるのすごいな、私には出来ない……)


「プライベートなことは、知らないかな」
 
 知らなかった、なにひとつ。
 
 上司としての出来た顔だけ、仕事をしている不破さんだけ。それでも職場だ、不破さんがどこまで部下に素顔を見せていたかなんてわからない。私は不破さんのことなんかなんにも知らなかったの。

 でも――知ってしまった。

 仕事から離れてプライベートな時間になったらどんな風にくだけた声で話すのか。

 どんな風に見つめて微笑むのか。どんな風に抱きしめて息を吐くのか。

 抱かれて知った、あの声がどんなに甘く私の名前を呼んでくれるか。

 どうして……あんなに優しい声で呼んでくれるんだろう。

 私なんか、不破さんを利用しているだけの女なのに。
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