上司と始める秘密の子作り契約?!~あなたのことを好きになってもいいですか~
 本当に大事に想う相手には、一体どれほど甘い声で名を呼ぶんだろう。

 そんなことを考えたら胸が締め付けられていく。そう思うことがもうおこがましい。

 
「そっかぁ……ライバル多そうだなぁ。天野さんは違いますよね?」

「え?」

「本田さんと最近イイ感じじゃないですかぁ」
 
 (なにそれ、どういう意味?)

「本田さんの気持ち、気づいてるなら受け止めてあげたらいいのに~」

 人の気持ちはそんな簡単なものじゃないでしょ?思ったけれどそれは飲み込めた。これ以上新藤さんに自分の正論を押し付けてうざい先輩にはなりたくない。でも心の中は悶々しか湧かない。

 
「不破部長にガッカリされたくないから仕事頑張ります、またご指導お願いします!」

 新藤さんは明るい声でそう言って微笑んできた。
 羨ましい性格だな、そう思った。前向きで自己肯定の高い子だ、仕事に対しても自信があるんだろうな。そしてその自信は……不破さんへの気持ちにもあるんだろう。

 好きを――隠さず言葉に出来るその自信が羨ましくて眩しい。
 
 私がもしその言葉を口にしたら――この関係は終わってしまうだけだから。
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