上司と始める秘密の子作り契約?!~あなたのことを好きになってもいいですか~
 好意を寄せている相手にその優しさは罪だ。
 パソコンを打ちながら悶々している自分の気持ちに収集がつけられないあかりは仕事に集中できないまま何度もタイプミスをしていた。

 嫉妬。
 ヤキモチ。
 妬み。
 艶羨。

 あかりの中にうごめく感情はどれもその類のモノばかりだ。
 不破はいつか誰かを選ぶのに、それが新藤であってもいい。新藤の気持ちを応援してやればいいじゃないか、そう思う気持ちもある。

 そんなのは……嘘だ。

 (無理――嫌、嫌だ!)

 新藤が不破に近づくのが嫌だ。不破が新藤に優しい言葉をかけるのは上司だから当然だ、新藤は部下だ、だから当たり前。あの優しい言葉は上司として投げかけられてるんだと言い聞かせて、そして思う。

 なら、自分は――?

 自分は不破にとって何者なのだ?上司と部下の関係、それを踏み越えて今どんな関係を作ってしまったのか。

 もう上司と部下にも戻れない。
 
 不破にとって自分はただの都合のいい女――それがもう耐えられないほど切ない。

 それでもいい、不破に必要とされるならそんなものでも傍にいたい、そう思ってその思いを打ち消すのだ。

 (戻りたい)

 上司と部下に戻りたい、信頼する上司の下で仕事するただの部下に戻りたい。あかりはそう思った。
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