上司と始める秘密の子作り契約?!~あなたのことを好きになってもいいですか~
 名前を呼ぶ前に口を封じられて頭の中で呼んでみる。

 (――いつき……さん)

 名前を呼んだら突然愛しさが湧くのはどうしてか。

 名前を呼ばれて名前を呼んだ。心の中だけでも不破の名を呼んだ、それだけで胸が高鳴った、それが事実だ。

 角度を変えて繰り返されるキスに目がくらみそうになって成す術もなく不破に身を委ねる。ただひたすら心地よく甘いキスはあかりの心をさらにときめかせる。

 過去に付き合った人はいた。長く続いた相手はいなかった。いつも仕事ですれ違って、たいしたデートもできないまま終わった恋ばかり。会えばそういうこともしたけれど、どれも付き合っているからするのだろうと思うだけの行為で、あかりはそこまでセックスが重要なことではなかった。
 相手が求めるなら応える、先ほど不破にも言われた通り。男が求めるなら応える、それが女の、自分の受け止め方なのだと勝手に思い込んでいた。

 でも――。
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