Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー
ユニクロの紺色のパーカーにGパンを履き、キャップを深くかぶった小夜は、15時きっかりに池袋西口のマックに着いた。
コーヒーを注文し、トレーを持ちながら、彼女を探す。
2階の一番奥の席に、白いブラウスに茶色と赤のチェックのスカートを履いている少女が黄色いスマホを虚ろな眼で眺めていた。
この辺りで良く見かける、女子校の制服だ。
遠目で見る彼女はストレートの長い髪に細い身体の、真面目そうな女の子だった。
小夜が少女の前に立つと、少女は上目遣いで小夜を凝視した。
「あなたが・・・小夜さんですか?」
少女は周りに聞こえないように、小さな声でそう言った。
「はい。」
小夜も小さな声で答えた。
「座ってもいい?」
小夜がテーブルにトレーを置くと、少女も「はい」と頷いた。
小夜は少女の前に座り、すばやく周りを見渡した。
若い学生ばかりで、警察の関係者だと思われる人間は見当たらない。
けれど、ここにはそんなに長くはいられない。
自分は追われている身なのだ。