Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー

桂木と野間は小夜のアパートの前に立っていた。

前に聞き込みをしたときに不在だった小夜の隣の部屋の老人の話を、どうしても聞いておきたかった。

落合の死亡時刻は4月10日の15時から17時だ。

そして死体発見が18時03分。

小夜は16時までは図書館にいたことが確認されている。

小夜が犯行後戻ることが不可能な時間にアリバイがあれば・・・小夜の無実は証明される。

「おいおい。下条小夜の隣の住人は耳が悪い老人だぞ?物音が聞こえたなんていう証言は取れそうもないけどな。」

「・・・・・・。」

野間の言葉を受け、唇をかみしめた桂木は、アパートの階段を上り、小夜の部屋の隣室のチャイムを鳴らした。

しかし何回鳴らしても音沙汰がない。

「今日も不在だ。もう帰ろうぜ。」

野間がそう言った瞬間、髪が白く腰の曲がった老婆がドアから顔を出した。

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