Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー
野間は大きくため息をつき、話し出した。
「俺はさ。カミさんが行きたいって言ってた北海道へ連れて行ったんだ。雄大な景色、綺麗な夜景、そしてポケットにエンゲージリングを忍ばせて・・・。んで、俺がプロポーズしようとした矢先に、カミさんが『結婚しよ?』って軽く言いやがってさ。せっかく俺が練りに練った台詞が台無しよ。」
「で、どうしたんだ?」
「そりゃ一択でしょ。はい。よろしくお願いしますって答えたよ。どうだ。参考になったか?」
「・・・・・・。」
小夜が行きたいと言っていた場所・・・
たしか桂木が故郷の話をした時に、小夜は言った。
『いつか連れていって欲しいな。桂木さんの故郷の海辺の町へ。』
「連れて行くか・・・。」
桂木はそうつぶやき、ウイスキーのロックを飲み干した。