Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー
「・・・その桂木さんって呼び方、そろそろ止めろ。」
桂木は常日頃から思っていたことを思わず口にした。
「え・・・?」
小夜がきょとんとする。
「泰生、でいい。」
お前ももうすぐ桂木になるんだから・・・と口走ってしまいそうになるのをなんとか堪えた。
「泰生・・・さん?」
「さん、はいらない。」
「泰生・・・」
「ああ。」
「無理!恥ずかしい!」
小夜は顔を赤らめ、手で顔を覆った。
「無理でも何でもそう呼べ。」
小夜は指の隙間から、瞳をちらりと覗かせながら言った。
「泰生。」
「ん?」
「泰生さん。」
「だから・・・」
「泰生君?」
「人の名前で遊ぶな。」
「泰生。・・・大好き。」
にっこり微笑んでそう言う小夜の思わぬ言葉に、桂木の方が照れてしまった。
「そういうことは、ふたりきりの時に言え。」
「ふたりきりだよ?」
気がつくと、周りのテーブルには誰もいなかった。