Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー
久しぶりの実家だった。
平屋建ての一軒家で、年期も入っている家だ。
しかしマメに手入れをされているようで、庭の柿の木も昔のままだった。
家の中も小綺麗に掃除されている。
「親父。ただいま。」
「おう。久しぶりだな。元気だったか?」
ひとり息子の帰郷に、白髪頭の桂木の父、嘉一はつい昨日会ったばかりのような気軽さで声を掛けた。
嘉一は桂木の後ろに立つ小夜の姿に、目を丸くした。
「んん?」
「親父・・・今日はこいつを紹介したくて来た。下条小夜。俺の・・・彼女。ま、今のところは。」
無愛想な嘉一が小夜を見て顔を綻ばせた。
「あの・・・下条小夜と申します。泰生・・・さんとお付き合いさせて頂いてます。よろしくお願いします。」
ガチガチに固まりながら手土産を渡す小夜に、嘉一が嬉しそうに言った。
「小夜ちゃんか。君は泰生より随分歳が若いようだけど、こんなオッサンが相手でいいのかい?」
「私は・・・泰生さん以外の相手はもう考えられなくて・・・なんて・・・言っちゃったりして・・・」
精一杯明るく振る舞おうと耳を赤くしながら、小夜が嘉一に一生懸命桂木への想いを伝えてくれている。
小夜の奴、クソ可愛いじゃねえか・・・
いますぐ抱きしめたい想いを理性でなんとか抑える。
なにせこれからが本番なのだ。
「そうかい。泰生を好きになってくれて有り難う。これからも泰生をよろしく頼んます。」
「は、はい!」
嘉一に認められた嬉しさからか、小夜の顔に笑顔の花が咲いた。
嘉一は桂木の背中を大きく叩いた。
「犯罪者だけじゃなく、こんな可愛い彼女まで捕まえて、泰生もなかなかやるじゃねえか。ははっ。」
「・・・親父。小夜と海見てくる。」
「ああ。行ってこい。しっかり決めて来いよ?」
そう言って嘉一はにやりと笑った。