Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー
「わあ。この海辺で泰生は育ったんだね。」
打ち寄せる波を見ながら、花柄のワンピースの裾をなびかせた小夜が感慨深げに言った。
「そうだな。」
懐かしい景色の中に小夜がいることが嬉しかった。
波は桂木と小夜の元へ行ったりきたりを繰り返す。
遠い水平線からかすかに日の光が差していた。
小夜は靴を脱ぎ、波際に足を浸した。
「冷たい!」
春とはいえ、まだ3月初旬だ。
しかし桂木も負けていられないとばかりに、小夜を真似てチノパンの裾を捲り、スニーカーを脱いで、海水に足を進ませた。
そして小夜に水しぶきをかける。
「ほらっ」
「きゃあ!」
小夜も桂木に水しぶきをかけ返した。
そんなことを繰り返しているうちに、ふたりはずぶ濡れになった。
「もう。風邪引いちゃうよ?」
そんな小夜の笑顔がまぶしくて、桂木は思わず小夜を後ろから抱き締めた。