Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー
「同じく捜査一課の桂木泰生です。」
カツラギタイセイ・・・
忘れたくても忘れられない男の名前が、目の前に掲げられた警察手帳に書かれてあった。
桂木の表情は職業用なのか、あの日の険しさはなく穏やかなものだった。
店長に確認済みなのだろう。
野間が飄々とした口調で言った。
「もうお仕事は終わりですよね。少しお話を聞かせて頂きたいのですが。」
「・・・道路向かいにある『檸檬』という喫茶店でお待ち頂けませんか?ここだとちょっと・・・」
小夜は無関心を装いながらも、聞き耳を立てている店長をちらりと見てそう言った。
「わかりました。ではのちほど。」
桂木と野間は店のドアから出て行った。
ドアが閉まるその瞬間、振り向いた桂木が小夜を責めるような目付きをした。