Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー

桂木は小夜の頬を撫でた。

「小夜が・・・お前が犯人(ホシ)じゃないのは、俺が一番良くわかっている。お前はお腹の子より大事なものは無かったはずだ。あんな男の為に人生を棒に振るはずがねえ。」

「・・信じてくれるんですね・・・私を。」

「ああ。もちろんだ。」

小夜の涙が桂木の胸を濡らす。

・・・しかし早めに手は打っておかなければならない。

「小夜。」

「はい。」

「今からすぐに荷物をまとめろ。」

「どうして・・・?」

「お前はこれからきっと重要参考人になるだろう。任意同行され、場合によっては拘束させられるかもしれない。だからその前に・・・俺の部屋で匿う。」

「・・・私、なにも悪いことしてないのに?」

「とりあえず、だ。俺が絶対に真犯人(ホンボシ)を上げてみせる。それまでの辛抱だ。」

桂木はそう言い、小夜をさらに強く抱きしめた。

「あ、マシュはどうしよう。」

「マシュ?」

「私の飼っている文鳥。マシュを置いていけない。」

「そいつも連れてこい。俺の車で運んでやる。いいな?」

桂木の言葉に、小夜はやっと小さく微笑んだ。
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