Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー

部屋の中は一見整然としていた。

リビングの右側面はガラス張りの広い窓から、外の景色が一面に眺めることが出来た。

家具はほとんど置かれておらず、角に黒い大きなソファと透明なテーブル、そして大画面のテレビが備え付けられているシンプルでモダンな部屋だ。

唯一小さな焦げ茶のチェストに間接照明のランプが、部屋のアクセントになっている。

リビングの隣にある白い壁のキッチンも広々としていた。

しかしそのソファには衣服や雑誌が雑然と投げ出されており、キッチンにはウイスキーの瓶やビールの缶が無造作に置かれてある。

「随分散らかってますね・・・」

小夜がそう眼を見開いた。

「部屋なんか寝に帰るだけだからな。男のひとり暮らしなんてこんなもんだろ。」

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