Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー
深夜、家に帰ると、小夜はまだ寝ずにソファで桂木を待っていた。
「寝てろって言ったろ?」
「でも・・・なんだか眠れなくて。」
桂木は小夜の隣に座って手を組み、小夜に問いかけた。
「小夜・・・落合に100万を渡したのはいつだ?」
「・・・成人式が終わった後だから・・・ちょっと待って。手帳を見てみる。」
小夜は日記代わりに手帳を付けていた。
「えっと・・・1月17日に渡した。」
やっぱり・・・
落合は小夜の金を翌日の18日には自分の口座へ入れたのだ。
桂木は小夜の目の前のテーブルに、札束をぽんと投げた。
小夜が驚きの表情でそれをみつめている。
「なに?・・・これ。」
「150万ある。変装して、利子も一緒に借金を全てこれで完済して来い。」
「・・・そんなの駄目だよ!私の為にこんな大金・・・」
「俺が嫌なんだよ。お前が借金で苦しむ姿を見るのが・・・。もし俺に借りを作りたくないなら心と身体で返せ。いいな?」
「こんなお金、どこから・・・」
「警察官舐めんなよ。俺は酒と煙草は嗜むが、ギャンブルも女もやらない。だからある程度の金は貯まってる。」
「・・・ありがとう。」
小夜が桂木の首に腕を回し、抱きついた。
桂木はその首筋にキスをし、小夜の背中に手を回した。