Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー

「・・・そんなことがあったんだ・・・。」

「この仕事を選んだのも、福田の影響だろうな。犯罪者一歩手前だった俺が、いまや犯罪者を追いかけているなんて、あの頃は思いもしなかった。」

「・・・桂木さんのお父さんはいまどうしてるの?」

「親父はまだあの町でひとりで暮らしてる。もう3年くらい会ってねえけどな。」

「お父さん、淋しがっているよ?きっと・・・」

「・・・・・・。」

「いつか私も連れて行って欲しいな。桂木さんの故郷の海辺の町へ。」

「ああ。・・・・この事件(ヤマ)が片付いたらな。」

桂木は小夜に柔らかい笑みを向けた。

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