Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー
早く真犯人が捕まって欲しい。
このまま隠れて暮らしていくのはもう嫌だ。
誰の目も気にせず、桂木さんと日の当たる場所を歩きたい・・・
そんな小夜の願いを読んだかように、桂木が言った。
「・・・海、見に行くか?」
「いまから?」
「ああ。夜中なら人目も少ないだろう。新潟には、いまは連れて行けねえが、都内の海なら夜明けまでに帰って来られる。」
「・・・大丈夫かな。」
「大丈夫だ。心配するな。」
もしも私が捕まったら・・・桂木さんと出掛ける機会なんてこれが最初で最後かもしれない・・・
「行きたくねえのか?」
「ううん。行きたい。」
桂木がアンダーシャツを身につける姿を見て、小夜も身支度を始めた。