Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー


桂木は小夜の目の前の椅子に座った。

そしてしばらく無言で小夜をじっと見据えた。

その一瞬、桂木と小夜の視線が、熱く絡み合った。

野間の、早く取り調べを始めろ、という視線を背中で感じ、桂木は言葉を発した。

「下条小夜さん。あんたが落合広之を殺した、というのは本当なのか?」

本当な訳がない。

それを知っているはずの自分が、どうしてこんなことを小夜に問わなければならないのか。

それでも俺は刑事なのだ。

その職務に当たらなければならない。

「・・・本当です。」

小夜は消え入りそうな声で言った。

「その日のお前・・・あんたの行動を説明してくれ。」

小夜はしどろもどろに答え始めた。
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