あのコワモテ先輩が距離感バグな件について

「はぁはぁ……ダメか……」
（届くと思ったんだけど……無理だったみたい）

　そう言って本棚を見上げている時点で彼女が届きそうな高さでは無いのだが、無口そうな彼女はその様子の割に頑固者だったらしい。いい加減諦めた方が時間の短縮になると諦めたように考え、脚立を取りに静かに歩き出した。

「脚立脚立……ケホッ」

　準備室の方へ向かいその扉を開ける。あまり使われてないからか若干埃っぽい空気が漂い思わず咳き込んでしまう。