新海に咲く愛
貴弘はスイミングスクールでの事件直後、山崎率いる警察官たちによって現行犯逮捕された。
彼は激しく抵抗しながらも、最終的には手錠をかけられ、パトカーに押し込まれた。

「ふざけるな! 俺は悪くない! 奈緒は俺の妻なんだ!」

貴弘はなおも叫び続けていたが、その声は誰にも届かなかった。
彼の行動を目撃したスイミングスクールのスタッフや生徒たちが証言を申し出たことで、彼の罪は逃れられないものとなった。

山崎はパトカーに乗り込む前に海斗へ声をかけた。

「これでひとまず安心だな。あいつ、もう二度と奈緒さんに近づけないようにする。」

海斗は深く頷き、「本当にありがとう」と感謝を伝えた。



病院で治療を受けていた奈緒は、ベッドの横には海斗が座っており、彼女が目を開けると同時に安堵の表情を浮かべた。

「奈緒さん……よかった。本当に……」

奈緒はまだ疲れ切った表情だったが、海斗に向かって小さく微笑んだ。

「……助けてくれて、本当にありがとう。」

その言葉に海斗は首を振った。

「俺はただ……奈緒さんが無事でいてくれることだけを願ってました。」

奈緒は涙を浮かべながら、「私……もう怖い思いをしたくない。これからどうすればいいんだろう……」
と呟いた。

海斗は彼女の手をそっと握りしめ、

「もう一人じゃありません。これから先、一緒に乗り越えていきましょう」と力強く答えた。

その言葉に奈緒は救われる思いだった。


貴弘の裁判が始まると、彼がこれまで奈緒に行ってきた数々の暴力や嫌がらせが明らかになった。

スイミングスクールでの事件も決定的な証拠となり、彼には厳しい判決が下された。

「被告人・中村貴弘には懲役5年を言い渡します。」

裁判官の声が響く法廷内で、貴弘は何も言わず俯いていた。


すべてが終わった瞬間だった。



その報告を受けた奈緒は、ようやく肩の荷が下りたような気持ちになった。
それでも心にはまだ不安や恐怖が残っていた。

「これで本当に終わったんでしょうか……?」

その問いに海斗は優しく答えた。

「終わりました。そしてこれから始まるんです。奈緒さんの新しい人生が。」
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