新海に咲く愛

10.新居での生活

新居での生活が始まり、二人は少しずつ夫婦としての日常を築いていった。
奈緒は家事をこなしながらも、海斗が仕事から帰ってくる時間が待ち遠しく感じるようになっていた。

一方で海斗もまた、仕事中にふと奈緒のことを思い出して微笑むことが増えていた。

ある日、仕事から帰宅した海斗がリビングに入ると、キッチンで夕食を準備している奈緒の姿があった。
エプロン姿の彼女を見ると、自然と笑みがこぼれる。

「ただいま。今日も美味そうな匂いだな。」

「あ、お帰りなさいませ！ もう少しで準備できますので、お待ちください。」

奈緒が慌てて振り返ると、海斗はその場で立ち止まり、じっと彼女を見つめた。

「何ですか……？」　

不思議そうに尋ねる奈緒に対して、海斗は少し照れくさそうに言った。

「いや……なんかこうやって家に帰ってきて奈緒がいるって、本当に幸せだなって思ってさ。」

その言葉に奈緒は一瞬驚いたような表情を浮かべた後、小さく微笑んだ。

「私も……こうして海斗さんと一緒に過ごせること、本当に幸せです。」