新海に咲く愛

11.新しい命

ある朝、奈緒は体調が優れないことに気づいた。

最初は疲れだと思っていたが、それが続くにつれて少し不安になり、病院へ行くことを決意した。

診察を終えた後、医師から告げられた言葉に奈緒は驚きと喜びで胸がいっぱいになった。

「おめでとうございます。妊娠されていますよ。」

その帰り道、奈緒は何度もお腹に手を当てながら、その事実をどう伝えようか考えていた。

そして家に帰ると、リビングでテレビを見ている海斗の隣に座り、小さな声で切り出した。

「海斗……あの……私……赤ちゃんができました。」

その言葉に海斗は一瞬驚いた表情を浮かべた後、大きく息を吐いて笑顔になった。

「本当か！？ マジで！？ うわ……すげぇ……！」

彼は思わず奈緒を抱きしめ、「ありがとう」と何度も呟いた。

「私こそ……ありがとうございます。」

奈緒も涙ぐみながら彼の背中に手を回した。


妊娠がわかった後、二人の生活は大きく変わった。
奈緒はつわりに苦しむ日々が続き、体力的にも精神的にも不安定になることがあった。
そんな時、海斗はいつもそばで支えてくれた。
ある日、奈緒がキッチンで料理をしていると急につわりが襲い、手元の包丁を置いてその場にしゃがみ込んだ。

「奈緒、大丈夫か！？」

すぐに駆け寄ってきた海斗が心配そうに声をかける。

「ごめんなさい……急につらくなって……」

奈緒は申し訳なさそうに顔を伏せた。

「謝るなよ。無理しなくていいって言っただろ。」

海斗は奈緒をリビングまで運び、そのままソファへ座らせた。
そしてキッチンへ戻り、自分でエプロンをつけ始める。

「今日は俺が作るから休んでろ。」

「えっ……でも……」

奈緒が戸惑うと、海斗は笑いながら振り返った。

「俺だって料理くらいできるんだぞ。まぁ期待しすぎるなよ。でもさ、お前と赤ちゃんにはちゃんと栄養取ってほしいからな。」

その言葉に奈緒は涙ぐみながら小さく頷いた。　

「ありがとうございます……」