新海に咲く愛

それから数十分後――




手術室から赤ちゃんの産声が響き渡った瞬間、海斗は立ち上がり、涙を浮かべながら扉の方を見つめた。

医師が現れ、「元気な女の子です」と告げた時、彼はその場で膝から崩れ落ちるほどの安堵と喜びを感じた。

「本当に……ありがとうございます……！」

海斗は涙を流しながら何度も頭を下げた。
しかし、その後に続く医師の言葉は、彼を再び深い絶望へと突き落とした。

「ただし、奥様の容態は非常に危険な状態です。心停止から蘇生措置を行いましたが、大量出血によるショックで意識が戻らないままです。脳への酸素供給も一時的に途絶えていたため、今後の回復は予断を許しません。」

「奈緒は……助かるんですよね？ 目を覚ますんですよね……？」

海斗は震える声で問いかけた。
しかし医師は一瞬言葉を詰まらせながら答えた。

「正直申し上げて、このまま意識が戻らない可能性もあります。ただし、私たちは全力で治療を続けます。」

その言葉に海斗は拳を握りしめ、
「お願いします……絶対に助けてください……！」と声を絞り出した。