【短】卒業〜新井かんなの場合〜
2週間前
卒業を2週間後に控えた週末、やらなければならないことは多い。
一人暮らしのこの部屋も引っ越しの予定はないが学生時代の物は何となく片付けておきたい。
卒業後は化粧品会社に就職が決まっているが、必要になるものと不要なものに分けられるだろう。
単位の為に取った授業の教科書やノート、過去に提出したレポート類、卒業したら確実に疎遠になるだろう知り合いの連絡先……
あの男の連絡先を見ながら、指が動かない理由を探る。
どう考えてもこれは卒業したら不要なものなのに、他の知り合いのように削除の文字を選択出来ないのは何故なのか。
深く考えようとしてやめた。
今削除しなくても、卒業後でも充分間に合う行為だろう。
別に深い意味はない。
まだ研究室には顔を出すし、最後に気まずいのも後味が悪くてゴメンだ。
ただそれだけの理由。
そう思っているとメッセージを知らせる音が部屋に響き渡る。
画面を覗きこめば今ちょうど考えていた男の名前が表示されていた。
『18時、俺の部屋で』
相変わらず自己中心的な男だ。
私に予定があるとは思わないんだろうか。
時計を見ると午後3時半を指している。
私は出かける準備をする為に重い腰をあげた。
頬が緩んだ自分の顔が鏡にうつしだされたが、見ない振りをした。
一人暮らしのこの部屋も引っ越しの予定はないが学生時代の物は何となく片付けておきたい。
卒業後は化粧品会社に就職が決まっているが、必要になるものと不要なものに分けられるだろう。
単位の為に取った授業の教科書やノート、過去に提出したレポート類、卒業したら確実に疎遠になるだろう知り合いの連絡先……
あの男の連絡先を見ながら、指が動かない理由を探る。
どう考えてもこれは卒業したら不要なものなのに、他の知り合いのように削除の文字を選択出来ないのは何故なのか。
深く考えようとしてやめた。
今削除しなくても、卒業後でも充分間に合う行為だろう。
別に深い意味はない。
まだ研究室には顔を出すし、最後に気まずいのも後味が悪くてゴメンだ。
ただそれだけの理由。
そう思っているとメッセージを知らせる音が部屋に響き渡る。
画面を覗きこめば今ちょうど考えていた男の名前が表示されていた。
『18時、俺の部屋で』
相変わらず自己中心的な男だ。
私に予定があるとは思わないんだろうか。
時計を見ると午後3時半を指している。
私は出かける準備をする為に重い腰をあげた。
頬が緩んだ自分の顔が鏡にうつしだされたが、見ない振りをした。